転職を始めた当時の年齢
私が転職したのは28歳でした。
性別
男性
転職前の職業
転職前の会社は大工道具や工具を扱う、格好良く言うと商社でした。
つまり小売店にそれらの商品を卸している問屋業でした。
当時は海外、特にアメリカやイギリスからD.I.Y(Do it yourself)が日本に入って来始めた頃でした。
日本流に言うと日曜大工の事ですが、日本ではそれまでは道具工具というと職人・プロが買いに行く金物店にしか無く、一般人を主な顧客とする店など成り立たないと考えられていた時代で、現在では何処にでもある所謂ホームセンターがやっとぼちぼち出来始めているという頃でした。
その会社はやはり元々職人相手の金物店に道具を卸していましたが、当時の社長がこの新しい動きに着目して、D.I.Y.業界に参入を決めたのです。
私はそんな会社で、営業に出た事もありましたが、主には出荷業務に携わっていました。
転職を考えたきっかけ
前述の様にD.I.Y.産業の成長期で、ホームセンターの会社も日本全国に雨後の竹の子の様に創設されて、それら各社が激しい勢いで店舗展開の競争を繰り広げていました。
全国の店舗から注文された商品を倉庫を駆けずり回って集め、梱包出荷するのが私の仕事でした。
急成長の会社にはよくある事ですが、業務システムも確立されておらず、人員的にもそう簡単に増やす事も出来ない為、毎日が大袈裟でなく戦争の様な有様でした。
残業は当たり前で、夜9時10時は序の口といった状態でした。
だから残業手当を時間通り支給するととんでもない金額になるからでしょうか、ドンブリ勘定で相当額分は実質タダ働きの状態でした。
しかし恐ろしいのはここからで、このルーチンワークの上に、新しく開店する店舗用の注文が別に入って来るのです。
1店舗当たり、大きい店なら10トントラック1台分の荷物を出荷しなければなりません。
そんな新店舗の注文が1ヶ月で4~5件来るのです。
通常の出荷業務で遅くまで働いた後、この新店舗用注文の出荷作業にかかるのです。
酷い時は翌日の午前3~4時まで働いて、その日の定刻8時から再び仕事開始という日々が1週間以上続いた事もありました。
今でいう、完全なブラック企業ですね。
これに加えて、業務量は少なかったものの輸入品関係の貿易事務も、私は担当していました。
ほとほと疲れ果てて耐えきれなくなって、入社6年で転職を決意しました。
転職前に不安だったこと
大学を卒業して社会人としてまだ6年程度だった私は、転職するという事に大変な不安がありました。
一つは具体的な不安というよりも、転職イコール悪の感覚があり、今の仕事を放り出して、弱音を吐いて逃げるのは潔しとしない気持ちがありました。
ここで負けてしまって今後社会で生きて行けるのかという漠然とした不安です。
具体的な不安としては、いざ転職といっても適当な仕事がすぐ転がっているはずが無いだろうという不安です。
結婚が早かったので子供まで居ましたから、そんな状態で会社を退職してしまって次の就職が決まらなければ大変な事になってしまいます。
妻と子供の生活を壊してしまう事が私の最大の不安でした。
これだけは何がどうあっても避けなければならないという思いがあったので、精神的にも肉体的にも辛くて堪らないのを耐えていたのです。
私はこうやって転職活動をしました
ところが、ある日書店でふと見た求人専門誌で、東京系のホームセンターが関西進出の為求人している事を知りました。
「これだ!」と私は心の中で叫びました。
雇って貰えるかどうか分かりませんでしたから、あまり感心した事ではないのですが転職先の求人に先ず応募してしまいました。
そして面接の時にそんな状態である事を正直に打ち明けました。
先方は理解を示してくれましたが、ただもし受かったら必ず円満退社してくる事を条件付けられました。
面接で私がPRした事は、工具道具の知識に関しては即戦力である事でした。
この場で売り場の基本的な陳列図を書けと言われれば、直ぐにでも出来ると売り込みました。
実際、6年間でそれ位の商品知識はありましたし、営業でホ−ムセンターの店頭も知っていましたからその自信がありました。
そして目出度く合格を勝ち取りました。
転職で最も苦労したこと
合格を貰てから最も大変だった事は、面接の時に言い渡されていた「円満退社」という条件をクリアする事でした。
なにしろ退職前に再就職先を決めてしまっているのですから、その事を知られる事なく円満退社を認めてもらわなければなりません。
ところが、前に書いた様にとてつもなく忙しい状態の会社ですから、そう簡単に認めてはくれませんでした。
上司と何度も話し合いをしました。
会社としてこの異常な状態をそういつまでも放置しておくつもりはなく、早急に解決するつもりだという事や、その際には私自身が業務改善を進めれば、その暁にはそれなりの見返りも考えているという話を、最後には社長まで出て来て説得されました。
とにかく我慢の限界で今すぐにでも止めたいという事を、私は粘り強く説明し続けました。
会社側が根負けするのに、1ヶ月ほどかかりました。
その間に、転職先の入社予定日も過ぎてしまったのですが、状況を説明すると快く理解してくれました。
今の転職先に決めた理由
営業でホームセンター業界には馴染みがあったので、転職を考えて始めた頃からこの業界が良さそうだという漠然とした気持ちがベースにありました。
その上、同じ業界にいるので、一風変わった店作りで有名だったこの転職先の会社に興味がありました。
そして何よりも、全国のホームセンター会社と取引がある前職の会社が、転職先のホームセンターと取引がなかった事が大きかったです。
下手をして円満退社が出来なかった場合、回状を回されると同業界での再就職に支障が出る事もあり得るのです。
そして最大の決め手は、6年間培った知識がそのまま役に立つという事です。
小売り店舗の運営について外から見て知ってはいても、実際にそれに携わるにおいて不安はあったのですが、それでも商品知識についての自信がその不安を随分和らげてくれました。
転職してよかったこと
転職先での仕事は、関西進出の1号店の店舗立ち上げが最初でした。
道具工具部門の担当者として商品選定から陳列まで一手に任されました。
ここで前職の知識経験が最大に活かされました。
店舗開設準備は多忙を極めましたが、社会人となってこれほど仕事が楽しく充実した日々を送れた事はありませんでした。
これだけでも転職した甲斐があったというものです。
その上、待遇面でも前職とは雲泥の差でした。
休日は週休2日の上に、規定の有給休暇が月2~3日は取れました。
また残業代はきっちりと出ましたから、当然給料は相当上がりました。
それに、埃だらけの薄暗い倉庫を一日中走り回っている事に比べて、きれいな店頭でお客様の相手をするのは気持ちが良いものでした。
おまけにお客様から逆に丁寧に礼を言われる事もあり仕事のやり斐は十分でした。
勿論、後には辛い事も出て来ましたが、職場環境と自分自身の気持ちの違いで、天国と地獄程の差があるものだと思いました。
転職を成功するためのアドバイス
今この転職を振り返って見ると、前職時代に辛さから逃れる為に、何でも良いからと適当に転職先を選んでいたらどうなっていたか分かりません。
転職を考え始めてから、具体的な期間は覚えていませんが、実際転職するまで結構時間がありました。
それは、家族という縛りがあったからなのですが、そのおかげで偶然ではありましたがこの転職先に巡り会えたのです。
本当に心からこれだと思える職を見つけるまでは、ただただ辛さから逃れる為だけに転職しても失敗する可能性が高くなるのではないでしょうか。
私の場合を考えてみれば、学生時代のバイトはスーパーマーケットなので小売店の仕事には馴染みが有りましたし、前職で得た道具工具やホームセンターの知識を活かせる職場が最適な職場なのでした。
転職を考える時、それまでに得た知識や経験を活かす事が転職成功の秘訣の一つだと思います。
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